冷え症
冷えの発症タイプ
冷え症は日常診療で良く見かる疾患です、男女比では女性圧倒的に多く、若い女性にもよく見かけます。現代医学では「冷え」は病気として認識されていませんのでほとんどの場合は治療の対象になっていません。現代医学でも疾患によっては劇的に効きますがほとんどの場合”それは困りましたね、少し様子を見ましょう”で終わりになります。冷え症のタイプとしては以下のようなものがあります
- 全身の冷え
- 四肢末端の冷え
- 下半身が冷え、上半身の火照り
1の全身の冷えの原因として多いのが基礎代謝の低下や甲状腺機能低下症
2の手足の冷えはの原因の多くは抹消の血行不全だと思われます
3ののぼせを伴う下半身の冷えでは典型的なのはエストロゲン欠乏症(更年期障害)です。
現代医学は基本的に冷えを疾患と捉えていませんので、対象とする疾患は意外と限られます。
四肢末端の冷えと現代医学四肢末端の冷えは末梢循環障害が考えられます、循環障害の原因として以下の物が考えられます
動脈性の血行障害として閉塞性動脈硬化(ASO)、閉塞性血栓性血管炎(バージャー病)、膠原病等によく見られるレイノー症候群などがあります。 静脈性として静脈血栓、下肢静脈瘤による慢性静脈不全等が考えられます、凍瘡(しもやけ)は細い静脈の循環不全と考えれています。動脈性の拍動がしっかりしているにも関わらず四肢末梢の発赤、冷感等があれば静脈性の循環不全が考えられ、拍動が弱く、発赤冷感が強ければ細い動脈の循環不全、拍動が弱く皮膚が蒼白であればやや太い動脈の循環不全が考えられます、またABIと言う器械を使用すればより詳細に動脈性の循環不全を調べることが出来ます。図にそれぞれの疾患と(推定)循環不全の部位を示します 末梢血管を広げる薬剤にはプロスタグランジン(PGE1、PGE2)、カテコールアミン系(α遮断薬、β刺激薬)、ニコチン酸系、その他の循環系作用酵素薬があります プロスタグランジン系(PGE1・PGI2)の適応は以下の様な物があります
動脈性の血量障害には適応がありますが静脈性の疾患に対しては適応がありません、またプロスタグランジン系の間でも違いがあり、PGI2の特徴は肺で不活化されず,PGE1(オパルモン・プレナール)よりも血小板,血管平滑筋のレセプターの親和性が強く、またPGE1が比較的太い動脈に作用するのに対し,PGI2は細い動脈に作用し、PGI2(ドルナー・プロサイリン)の方が血管に拡張作用が強い傾向があります。 PGI2(ドルナー・プロサイリン)の方が血小板や血管に対する作用が強く、また末梢の細い動脈に使用します。 プロスタグランジン系以外の薬剤(α遮断薬、β刺激薬、ニコチン酸系、循環系作用酵素)には動脈性の疾患以外に凍傷や凍瘡(しもやけ)にも適応があります、よく知られているユベラN(ニコチン酸系+ビタミンE)に関しては外用では凍瘡に関して適応がありますが内服剤に関しては適応がありません。 | 四肢末端の冷えと漢方薬四肢末端の冷えには動脈性には当帰四逆加呉茱萸湯を静脈性には桂枝茯苓丸や当帰芍薬散などを使用致します、当帰四逆加呉茱萸湯は四肢末端の手足の冷えや霜焼け、赤切れなどの治療にとても有名ですが薬の風味が苦手で飲めない方も少なくありません。手足が紫〜赤の場合は瘀血(血の流れが悪い)状態が考えています、舌や腹部の所見を元に駆瘀血剤を処方します、駆瘀血剤にはいろいろありますが代表的なものとして女性に良く処方される桂枝茯苓丸があります。
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のぼせを伴う冷え症(上熱下冷)のぼせを伴う冷え症(上熱下冷)は、気の異常が考えられます、気の流れを整える桂枝や黄連の配合されている方剤を処方します。血の流れが悪い瘀血がある場合は桃核承気湯や桂枝茯苓丸を皮膚や口唇が乾燥し手掌や足底が火照る場合は温経湯、イライラや自律神経失調症状が強うい場合は加味逍遥散などを処方します
| その他の冷え症と漢方特徴的な部位や症状に対応した方剤があります、腰回りのひどい冷えには苓姜朮甘湯(+ブシ末)、高齢者の膝から下の冷えには八味地黄丸、腹部の冷えには人参湯や大建中湯、胸部や背部の冷えには当帰湯(+ブシ末)などが適応になります、種類が多くて大変です(;´ー`).......
漢方薬の冷え症の薬は多種多様で薬の効き具合を確認しながら調節していきます、薬との相性が良ければ翌日にもポカポカ暖かくなり、体が軽くなります。 | |||||
漢方薬を処方する際は患者さんの体質、陰陽虚実、腎虚や水滞の有無などが大切です。冷えと陰陽虚実の関係をまとめて見ました。




















