背中・胸・肩のニキビ顔のニキビと病原体が違うため治療方法が全く異なります、顔のニキビに比べて治療が難しいです、このページでは背中のニキビ、マラセチア毛包炎について記載します。
以下の内容は院長の林が執筆しています「文責:星の原クリニック院長 医学博士 林 俊」
はじめに
【背中】【胸】【肩】に出来るニキビはマラセチアと言うカビの一種が原因の場合が多いです、マラセチアが原因の場合はあっさり改善する事が多いのですが、マラセチア以外の背中・胸・肩ニキビはなかなか治りません。
- マラセチア(真菌)が原因の事が多い
- マラセチア以外の場合は治療が難しい
マラセチアが原因のニキビの特徴
マラセチアが原因のニキビの事を【マラセチア毛包炎】と言います、特徴的な外観をしております、【ドーム状のニキビ】です、顔のニキビではこのような形にはなりません。
- ドーム状の丘疹
- やや痒みがあるのが特徴
- 胸・背中・肩によく出来きます
治療
範囲が広い場合は内服薬が便利です、顔と違って範囲が広い場合は外用薬は塗るのが大変
抗真菌薬の内服
範囲が広く、典型的なドーム状のマラセチアが原因のニキビの場合は内服薬がお勧めです
肝機能障害のある方は抗真菌剤の内服は出来ません、また一ヶ月で効果がなければ内服を中止します。(イトラコナゾール)
- 広範囲の背中ニキビには、まずはコレ!
- 肝機能障害がある方は飲めません
- 内服期間は1ヶ月
漢方薬の内服
背中ニキビでは以下の二種類の漢方薬をよく使います、イトラコナゾールと違い3ヶ月以上は内服します、漢方薬が苦手でない方は試して見てください。
- 十味敗毒湯
- 荊芥連翹湯
外用薬
イトラコナゾールの外用薬とピーリング外用薬のベピオゲルの2種類があります。範囲が広いと塗るのが大変です、また長期間の治療が必要となります。
ニゾラールクリーム
抗真菌薬のクリームです、内服薬が飲めない場合や【マラセチア毛包炎】の範囲が狭い場合に使用します。
ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)
代表的な外用ピーリング薬です、保険診療で体に使用できるのはベピオゲルだけです、漂白作用があるので色付きの下着やTシャツは注意が必要です。
背中ニキビのレーザー治療
背中にニキビ以外に【シミ】【ムダ毛】がある場合はレーザーを使用することがあります、3種類のレーザーを使用します。
【リスク】熱傷・色素沈着
【治療間隔・回数】1ヶ月に1回で合計5回
【施術料金】税込¥86,944円(上背部)
【豆知識】マラセチア毛包炎の治療成績
2016年に帝京大学の先生がマラセチア毛包炎について英語の論文を発表しています、以下は論文の要約です。
Med. Mycol. J. Vol. Med. 57E, Mycol. E 63 J. − Vol. E 66, 57(No. 2016 3),2016 ISSN 2185 − 6486 Short Repor Treatment Outcomes for Malassezia Folliculitis in the Dermatology Department of a University Hospital in Japan
- イトラコナゾール外用で治療は改善までの治療期間11〜43日で約1ヶ月(27日)
- イトラコナゾール内服約で治療した患者さんは改善までの治療期間10〜21日で約2週間(14日)
- 全員で症状が改善しました
- 結論:内服の方がよく効く