はじめに
外用ステロイド軟膏はアトピー性皮膚炎のはじめの一歩です、正しく塗りましょう。初診の方は看護師から塗り方の実演をさせて頂きます。
以下の内容は院長の林が執筆しています「文責:星の原クリニック院長 医学博士 林 俊」
ステロイドの外用薬の使い方
強いステロイドの使用は2週間を目安に
皮膚が真っ赤でガサガサ腫れて浸出液が出ている状態は火事に例えれば大きな炎が上がった火事の状態です、そのような状態ではバケツの水(弱いステロイド)では鎮火で来ません、強いステロイド(消防車)で短期集中に使用して消化します。火の勢いが無くなってからバケツの水で(弱いステロイド)で鎮火します。
- 症状が強い時は強いステロイドを短期集中で
- 紫外線治療も併用
- 強いステロイドは2週間以内に限定
- 体を冷やす漢方薬も使用します
塗る量の目安
Finger-Tip Unit(FTU)とは、外用薬5mm口径の中部を人差し指の先端から次の関節まで押し出した量で0.5gに相当します。1FTUの手のひら2枚の広さに塗ります。
日経メディカルより
FTUと塗布部位1
塗布部位と必要なFTU(軟膏の使用量)のイラストです。
日経メディカルより
塗り方のコツ
大切なポイント
- 適切な【十分な量】を塗ります!
- 炎症に見合う【強さ】の【ステロイド】を塗ります
- 症状が改善すれば弱い【ステロイド】に変更します
- 顔と前頸部には長くは使用しない
塗る順番・塗り方
- 症状が酷い場合はまず保湿剤を塗ります
- 風呂上がりは必ず塗りましょう
- 範囲が広い場合は点状にステロイドを塗ります
- その後、さっと塗り拡げる
- ティッシュがくっつく程度まで塗ります
外用ステロイドの副作用
外用剤は、皮膚から体内に2~2.5%しか吸収されず、数日間で排出されます、正しく使用すれば体内に蓄積され全身的な副作用を起こすことはまずありません。
- 皮膚萎縮(皮膚が薄くなる)
- 毛細血管拡張(いわゆる“赤ら顔”)
- 色素沈着
- ニキビ、多毛など(外用薬では滅多にない)
- 皮膚の易感染性(ほとんどない)
- 副腎皮質機能の抑制(ほどんどない)