
限局性強皮症
(Localized Scleroderma)とは?

限局性強皮症は、皮膚やその下にある組織が硬くなる病気です。この病気は、免疫システムの異常が関与していると考えられており、自己免疫疾患の一つです。皮膚のコラーゲンが過剰に作られることで、皮膚が厚く、硬くなり、光沢を帯びます。限局性強皮症は全身性強皮症とは異なり、通常は内臓には影響を与えません。
限局性強皮症における脱毛症の種類とメカニズム
限局性強皮症における脱毛症は、病変部位に一致して起こることが多く、そのメカニズムは主に以下の2つが考えられます。
毛包への直接的な影響
炎症
強皮症による皮膚の炎症は、毛包周囲にも及びます。この炎症によって毛包がダメージを受け、毛の成長サイクルが乱れ、脱毛が引き起こされます。
線維化
コラーゲンの過剰な沈着による皮膚の硬化(線維化)は、毛包を圧迫したり、毛包への血流を阻害したりします。その結果、毛包が栄養不足に陥り、脱毛が進行します。
皮膚の変化による間接的な影響
- 皮膚の硬化:
皮膚が硬くなることで、毛穴が塞がれたり、毛髪が正常に成長できなくなったりします。 - 血流の低下:
皮膚の硬化によって、毛包への血流が低下し、毛髪の成長に必要な栄養や酸素が不足します。
限局性強皮症における脱毛症の特徴
限局性強皮症における脱毛症は、病変のタイプによって異なる特徴を示すことがあります。
モルフェア (Morphea)
円形または楕円形の硬い斑が特徴で、その部分に脱毛が見られます。脱毛は、斑の中心部から始まることが多く、徐々に周囲に広がります。
線状強皮症 (Linear Scleroderma)
線状に皮膚が硬くなるタイプで、特に頭部に生じた場合(「剣創様」と呼ばれる)、線状の脱毛が特徴的です。このタイプは小児に多く見られ、毛髪の再成長が難しいことがあります。
脱毛症の診断
限局性強皮症における脱毛症の診断は、主に以下の方法で行われます。
- 視診・触診:
皮膚の状態や脱毛のパターンを詳細に観察します。 - ダーモスコピー:
皮膚を拡大して観察する機器を用いて、毛包の状態や炎症の程度を評価します。 - 皮膚生検:
必要に応じて、皮膚の一部を採取して顕微鏡で観察し、炎症や線維化の程度、毛包の状態を確認します。
脱毛症の治療
限局性強皮症における脱毛症の治療は、病気の活動性を抑え、毛髪の再成長を促すことを目的としています。
病気の活動性を抑える治療:
ステロイド外用薬・局所注射: 炎症を抑え、線維化の進行を遅らせる効果が期待できます。 免疫抑制薬: メトトレキサートなどの免疫抑制薬が使用されることがあります。 光線療法 (PUVA療法など): 紫外線を照射することで、炎症を抑える効果が期待できます。
毛髪の再成長を促す治療:
- ミノキシジル外用薬: 血流を改善し、毛髪の成長を促す効果が期待できます。
- ステロイド外用薬・局所注射: 炎症を抑えることで、毛髪の再成長を促す効果が期待できます。
まとめ
限局性強皮症における脱毛症は、皮膚の炎症や線維化によって毛包がダメージを受けることで起こります。脱毛のパターンは病変のタイプによって異なり、早期発見と適切な治療が重要です。治療には時間がかかるため、根気強く治療を継続することが大切です。