福岡での陥没乳頭の治療
以下の内容は院長の林が執筆しています「文責:星の原クリニック院長 医学博士 林 俊」
陥没乳頭の頻度と症状
陥没乳頭の頻度
陥没乳頭は先天性と後天性があり、合計すると10〜20%の頻度で起こると言われています。
先天性陥没乳頭の頻度
- 先天性の陥没乳頭の頻度は10%です
- 両側が陥没乳頭の方は87%です
- 遺伝性、家族性は50%あります
- 思春期までに多くは自然に治るので、治療が必要な方はもっと少なくなります。
- 18歳で陥没乳頭が残るようであれば治療を考えましょう
後天性陥没乳頭の頻度
- 乳癌
- Paget病
- 加齢による乳房のタルミ
- 体重減少
- 外傷性の脂肪壊死
- 急性乳房炎
陥没乳頭の症状
- 乳首が引っ込むので授乳が上手にできません。
- 乳頭部に細菌がたまり非衛生的です。
- 審美的な問題もあります
陥没乳頭の原因
陥没乳頭の原因には大きく分けて先天性と後天性の2つがあり、その下で更に細かく分類されます。
先天性陥没乳頭の原因
思春期以前はまだ乳房・乳管が発達していないので乳頭は平らかやや陥没していても問題ありません、18歳以上になっても陥没乳頭がひどい場合ご相談ください。
先天性陥没乳頭の3つの原因
- 乳管が発達が悪く短い
- 乳頭の直下の結合組織が少ない
- 乳頭の線維化が強い
後天性の陥没乳頭の原因
- 乳癌
- Paget病
- 加齢による乳房のタルミ
- 体重減少
- 外傷性の脂肪壊死
- 急性乳房炎
陥没乳頭のグレードと病態
指で引っ張り出せる軽度の陥没乳頭は市販の吸引器などで改善できます。
大きな分類
- 刺激や指などで引っ張ると引き出せるのを仮性陥没乳頭と言います
- 引っ張り出せないのを真性陥没乳頭と言います。
細かい分類
グレード1(*図あり)
グレード2(*図あり)
グレード3(*図あり)
乳管を温存した術式を行っています
当院では乳管を切らない、難波変法での乳頭形成術を行います 乳頭にZ状の切開を3箇所加えます、出来上がりの切開線は乳輪のシワや乳頭の段差に隠れてほとんど分からなくなります。
- 乳管を切らないので授乳に影響がない。
- 傷が目立たない。
- 手術時間が短い。
- 術後の感染症が少ない。
難波変法の手術イメージ
術後の傷
術後の傷は皮膚のシワに隠れて目立ちません。
乳頭の手術の合併症について
全ての手術にはリスクが伴います、頻度は多くありませんが陥没乳頭の手術にも合併症がおこる可能性があります、極めて稀ですが【乳頭壊死】は重大な合併症で注意が必要です。
- 陥没乳頭の再発;3割前後の確率で発生します。
- 創部感染症;頻度は多くありません、稀に数カ月後に発生することもあります。
- 乳頭壊死;血流不全によって発生します、私自身経験はございませんが、重大な合併症です。
乳頭壊死について
- 手術中の丁寧な操作と止血
- 術後に安静後に、血流の問題のないのを確認後のご帰宅
- 翌日再診での乳頭部の血流の確認
- 乳頭の壊死を予防するためのステロイドの内服
- 微小循環を改善する漢方薬の内服
陥没乳頭・手術のながれ
当日
- 腫れ抑制・痛み止めの薬を術前30分に内服
- 手術室にご案内;消毒
- 局所麻酔(前もって麻酔クリームを塗ることも可能です)
- 手術時間(片側約40分)
- 30〜60分間院内で安静、出血や乳頭の血流を確認
- 御帰宅
翌日〜
- 消毒、術後経過観察:出血の有無や皮膚の血流の状態の確認をします
3日目
- 創部のホルダーは装着したまま、シャワーが可能となります。創部をやさしく洗い流して軟膏を塗ります。
7日目
- 再診:傷の状態を確認します、細菌感染の有無、皮膚壊死の有無を確認します。
14日目
- 抜糸
- 陥没乳頭の程度が酷い場合は術後に乳頭を牽引する糸を2週間留置する事があります。
- ブラジャー圧迫による再発防止のため、乳頭保護ホルダーを2ヶ月間装着して頂きます。
- 小さなキズが乳輪内にできますが数ヶ月で目立たなくなります。
陥没乳頭のQ&A
手術後にすぐに日常生活に復帰することが可能です。ただし、傷の回復や感染症予防のために、数日間は激しい運動や温浴を避けることをお勧めします。
難波変法による施術は、傷が乳輪のしわや乳頭の段差に隠れるため、時間と共に目立たなくなります。また、傷跡は個人の皮膚の再生力により異なりますが、多くの方は数ヶ月でほとんど気にならない状態になります。
当院では乳管を切らない術式を採用しているため、乳頭壊死などの重大な合併症を起こさない限り(当院では発生したことはありません)、授乳機能に影響はありません。安心して治療を受けていただけます。
術後は医師の指示に従い、出血や感染症の予防のために適切なアフターケアを行ってください。特に、術後3日目以降にシャワーが可能となりますが、医師の指示に従ってください。また、2ヶ月間は乳頭保護ホルダーの着用をお勧めします。
当院のWEBサイトからカウンセリングの予約が可能です。お気軽にご利用ください。質問や相談がございましたら、当院のスタッフが親身に対応いたします。
施術料金(自由診療)
福岡県では保険の審査が厳しく、現在は保険診療での陥没乳頭の手術はできない状態となっております。
- 片側の場合は154,000円(税込)
- 両側の場合は275,000円(税込)になります。