このページは星の原クリニック 院長 林俊(医学博士)が記載したものです。
粉瘤は癌になるの?
粉瘤は表皮や毛包の組織が皮下に陥入して、袋状に垢・汗等の老廃物が貯まる病気です、当院で患者様に頻繁にご質問いただく質問に【粉瘤はガン化するのか?】というものです。
粉瘤が悪性化(ガン化)する可能性について
粉瘤からの皮膚がん(有棘細胞癌)の発生率は、0.011から0.045%と推定されて、極めてまれです。悪性化する原因については判明していませんが、炎症性の粉瘤が悪性化したという報告があります。統計上、下記の様な特徴があります。
- 平均年齢61.8歳(28〜96歳)
- 男性に多い(69%)
- 頭か首にできることが多い(54.8%)
- 平均の大きさ:5.0cm(0.7~20cm)
- 平均発症期間:92.6カ月(0.5~480カ月)
主な症状
- 疼痛(24.2%)
- 急速な嚢胞の拡大(48.6%)
- 紅斑、潰瘍、排膿などの皮膚の変化(38.2%)
- 抗生物質治療に失敗(25%)
ただ、これらの特徴は炎症性粉瘤ではよくみられる症状の為、過度に心配する必要はありませんが以下のケースは病理検査を実施します。
病理検査が必要なケース
- 悪性変性の疑いが高い場合
- 嚢胞が痛み
- 急速な成長、皮膚の変化を呈している場合
- 感染したと思われる嚢胞が内科的治療に反応しない場合